7月15日マリナートでの記念事業
阿木燿子さんのコメント

清水みなと祭りとの『美縁、ビエン、bien』

阿木燿子さん

 作詞を担当させて頂きました阿木燿子です。私にとっても遺作になるかもしれないのですが、初めてメロディを聴きました時は、次回作には最高に華やかなものを、というイメージを持っていたので、主人には「お祭り!」という弾け感がもっとあった方がいいのでは、と申しただけで、別にメロディにクレームを付けたわけではありません。今までの四作もそうでしたが、今回も夫婦の危機スレスレのところで、新しい作品が仕上がりました。

 清水みなと祭りに来させて頂いて、皆様が踊って下さる姿を拝見すると、本当に作詞家冥利に尽きるなと感じます。作詞家というのは作品を産みっぱなしで、レコーディングが済んだ後は、その曲がヒットするかしないか、運まかせなところがございます。人の耳にあまり触れることがないような場合は、残念な気持になります。でも清水ではどの作品も皆様に愛して頂き、大事に育てて頂いたという実感がございます。作詞家として、こんな素敵な仕事はないな、と常々感じさせて頂いております。

 主人から、新曲のキィワードにフラメンコはどうだろうと言われた時、「それは良いかも」とすぐ思いました。私はフラメンコが大好きで、自分でも習っていたり、「フラメンコ曽根崎心中」というフラメンコと曽根崎心中を合体させた作品をプロデュースしたりしているので、フラメンコの持っている陽気さ、明日は明日、今日は今日、今宵一夜を踊り明かそう、といった心意気みたいなものが、清水みなと祭りに共通すると感じたからです。

 今日は詞がお手元にないと思いますが、私が知っている数少ないスペイン語に「ビエン(bien)」という言葉があります。フラメンコ・ショーを観ていても、ダンサーや歌手に「ムィ・ビエン(muy・bien)と声をかけたりします。「とても良いよ、素敵だよ」という意味らしいのですが、私はその言葉の響きが好きで、いつも頭にありました。
 去年の東日本大震災以来、「絆」ということが言われます。今、私達日本人に最も大切なものとして、いえ、世界にとっても、地球にとっても絆という言葉は大事なキィワードになりつつあります。でも、昨今あまりに使われすぎて、作詞家としては避けたいなと、いう思いがございました。そこで「縁(えん)」ならどうだろう、とひらめきました。それも美しい縁という意味で「美縁(びえん)」。スペイン語にも引っ掛けた造語ですが、美しい縁(えにし)を、今回の作品のテーマにしました。

 主人と同じく私も、清水みなと祭りに関係していらっしゃるすべての方々、そして踊って下さる大勢の市民の皆様と良い縁で結ばれていると信じております。縁という糸は目には見えませが、そう感じれば必ず美縁となって世界を巡ってくれるものだと思います。
  今回はとくに私達の自信作です。ぜひ聴いて頂きたいし、皆様が清水みなと祭りで踊って下さる日を、楽しみにしています。

 

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佐藤浩希さんがフラメンコへの想いを語ります。

編集:清水みなと祭り実行委員会